■過去問演習に効く「復習ノート」
過去問演習が始まる6年生の2学期以降は、志望校の出題傾向を見据え、苦手分野を減らすことが学習の中心になる。複数の学校の過去問を効率よく網羅するためには、やはり事前の計画が必須だ。
「過去問は第1志望の学校から、3年前、2年前、1年前という順で取り組むのがおすすめです。安全校として受ける学校は、志望順位の高い学校の進捗状況を見つつ、冬期講習あたりから始めても大丈夫です」(松島さん)
松島さんの塾では、A4サイズのルーズリーフで作った「復習ノート」を、問題集や模試、過去問の振り返りに活用している。復習の対象は模試やテキスト、過去問で解けなかった応用問題などに限定し、計算ミス、書き写しミスは含めない。
「復習ノートでは、1問につきルーズリーフ1枚を使用します。まずはルーズリーフに解けなかった問題を書き出し、その問題の解答・解説を読んで理解します。なぜ間違ったのか、どうすればこの問題が解けたのかをしっかり考えることが重要です」(松島さん)
正答までの流れが頭に入ったら、問題の下に解法を一気に書き出し、最後にその問題が解けなかった理由や解法のポイントを加える。ただ解説を見て書く「書き写し」にしないことが最も大切だ。
「解法のポイントには、『こんなヒントがあれば、自分は解けた』という内容を書きましょう。そして時間をおいて解けた問題はバインダーから取り外します。目標はルーズリーフを空にすることです。6年生後半は不安からつい新しい問題集を買いたくなってしまいますが、この学習を地道に続けたほうが、確実に力はつきます」(松島さん)
中学受験で経験した「自ら学ぶ」楽しさは、受験後の人生でも役に立つ。何より、家族とともに頑張った日々は一生の思い出になるという。
「中学受験は家族みんなで支えるもの。説明会や受験スケジュールをスマホのカレンダーで共有するなど、日頃から家族の協力態勢を整えて、最後に『みんなで頑張ったね!』と言える受験をめざしてください」(松島さん)
◆松島伸浩/スクールFC代表兼花まるグループ常務取締役。現在も現場で活躍中の傍ら、子育てや受験に関する講演も多数行う。著書に『中学受験 親のかかわり方大全』(実務教育出版)ほか。
(文/木下昌子)
※AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』より
朝日新聞出版