新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないことを受け、学校の夏休み延長が議論され、夏休み明けの授業をオンラインで実施することを決めた自治体もあります。パソコンやインターネットなど、ICT(情報通信技術)を学校教育に活用する意義や利点、そして親が知っておくべき心構えとは――。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2022」』では、教育現場の第一線でデジタル時代の学びを進める二人の教師に話を聞きました。学校教育のICT化で国内屈指の充実度を誇る宝仙学園小学校の百瀬剛さんと、公立校ながらICT教育の最先端をいく東京都小金井市立前原小学校でICT主任を務めた蓑手章吾さんが語ります。
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■この数年で加速したICT教育の浸透
百瀬 私が勤める宝仙学園小学校では、6年ほど前からICTを試行的に導入しました。電子黒板からスタートし、教員は教具の一つとしてタブレットを持ち、電子黒板とリンクさせながら活用し始めました。児童たちに使わせたのは次のステップでしたね。蓑手さんは、小学校におけるICT化の流れをどのように見られてきましたか?
蓑手 私は4年前にICT先進校である前原小学校へ異動したのですが、当時は世間的にも、ICTへの理解はまだまだでした。この2、3年で一気に流れが変わり、児童が1人1台の端末を持つ学校も増えましたよね。
百瀬 我々も当初は貸し出し機でしたが、2020年から1人1台となりました。
蓑手 導入にあたって、難しさはありませんでしたか?
百瀬 以前から保護者を対象としたICT説明会や研修会を実施していたんです。そこで「将来の教材として必須になる」と伝えていましたし、コロナ禍という状況もあり、急ピッチかつ、スムーズに進めることができましたね。その結果、昨年は4月の始業式以降、全学年がZoomを通して授業を実施できました。
蓑手 その準備と実行力はさすがですね。まさにそのころ、公立校では「オンライン授業をやりたくてもできない」という教員の声が全国から上がっていました。
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