小学校の6年間でグンと成長するには、何を意識すべきなのでしょうか。名門校として知られる開成中学校・高等学校の校長を務めた柳沢幸雄さんは、ささやかながらも的確な声かけや後押しが親の務めだといいます。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2022」』で話を聞きました。

MENU ■子どもが示す好奇心をいかに維持できるか ■細かな部分をほめると子どもの自信につながる ■成功体験を通じて自己肯定感が育まれる

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 開成中学校・高等学校の校長を9年間務め、2020年、北鎌倉女子学園の学園長に就任した柳沢幸雄さんは言う。

「子どもが示す好奇心こそ、見逃してはいけません。小さな子にも好きな分野や得意な分野があります。子どもは千差万別の能力を持っており、一人ひとりの特徴を見いだし、それを引き出すためには、潜在的な部分をのぞき見る必要があります。その窓口となるのが好奇心なのです」

 子育ての重要点について、柳沢さんはこう説明する。

「親である自分が死んだあとでも、子どもが自立して自分の力で生きていけるように育てておくこと。これが子育ての一丁目一番地、つまり最優先事項です。どんな仕事で自立するかを考えたとき、自分のペースで着実に仕事をしている人は、自分の好きなことや得意な分野に関連する職業に就いている場合が多い。わが子にもそうなってほしいのなら、『好き』や『得意』を伸ばすことが大切なのです」

■子どもが示す好奇心をいかに維持できるか

 子どもの将来を見据え、親にできることは何か。柳沢さんはこう指摘する。

「大事なのは子どもが示す好奇心を受け入れ、いかに維持するかということ。そして、その好奇心に、“ちょい足し”をすることです」

 昆虫が好きな子どもがしゃがみ込み、動き回るアリをじっと目で追っているとき、親はその姿を見守る。そのあとの“ちょい足し”として、柳沢さんは例を挙げる。

「たとえば科学博物館へ連れていく。そこには昆虫標本もあれば、恐竜の骨格標本もあります。それを見て、恐竜の骨の掘り出し方に興味を持ち、地層に関する内容へと関心が広がる可能性もあります。このように、子どもの好奇心の行き先を、親の“ちょい足し”によって広げていくのです」

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磯田智見
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