矢萩:とにかく、「この場所は自分と相性いいな、楽しいな」という場を1科目でも見つけることが大事です。応用的なことまでできるようになるのは難しいですが、好きなことを活用して基礎的なことができるようになるのはどの教科でもできますから。

安浪:1科目の中でも、歴史は好きだけど地理は嫌い、生物は好きだけど物理分野は嫌い、っていう子もいますよね(笑)。

矢萩:でも歴史の中にも地理の情報もありますよね。歴史を深めていけば地理だって少しずつ詳しくなるはず。ただ、理科の場合、確かに生物に特化して好きな子は物理をやらせるのはすごく難しい。そういう場合は、得意なところをやって、最終的には算、国で受験できるところを探したりします。理科が得意になることで国語や算数も好きになることがあるので、無駄ではありません。

安浪:好きなことを活用して、その教科の基礎的なことを学ぶ、そして他の教科にも広げていく、というのはまさに探究的学びですね。それができる、魅力的な授業をしてくれる先生を探すのが難しそうですが。

矢萩:大手塾の中にも探究的な視点を大事に授業をしてくれる先生はたまにいます。ただし、4科目全員そういう先生にあたるのは宝くじ的に難しいですね。それなのに中学受験は4科目がデフォルト。そこが現在の中学受験の難しいところですね。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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