安浪:ということは、受験校も2科目で受けられる学校の中から探す、ってことですね。

矢萩:そうです。こうすると物理的な忙しさや、精神的な焦りから解消されることが多いですね。ただどうしても難関校に行きたい、という場合は難しいかな。

安浪:やはり難関校、最難関校、となると無理?

矢萩:無理ではないですが、どこまでその子が自発性を持って勉強できるかに尽きますね。ある程度自立して勉強ができて、塾のコンテンツは全部やらずに自分で間引いて自由時間に自分の好きな学びをできるような子であれば十分可能です。

安浪:それって相当賢い子じゃないですか?

矢萩:相当賢い子ですね(笑)

安浪:もっと普通の子の場合はどのように指導しているのですか?探究的学びはさせたいけれど、中学受験に必要な基礎学力にも不安がある子の場合はどうしますか?

矢萩:そもそもウチでは中学受験で必要なコンテンツは扱うけれど、受験や合格を目的とせずに、対話を中心にした授業をしているんです。その中で受験するかどうか、子ども自身や親御さんたちと合意形成していきます。

安浪:なるほど。例えば、この方のお子さんのように、そもそも勉強はあまり得意でないけれど、鉄道だけにはすごく詳しいです、その個性を伸ばして中学受験をさせたいんです、と言われた場合はどうするのでしょうか?このような子は中学受験のコンテンツについていくのは大変ですよね。

■いきなり長文を読ませると、途端に国語嫌いになる

矢萩:そういう子の場合は、とりあえず国語の授業を取ってください、って言います。国語はマスト。僕の国語の授業は何も知らなくていいよ、見て思うことからスタートしよう、というものなので、授業の半分ぐらいはニュースや写真を見ながら考えたり発表したりといった対話ベースです。ですから、昆虫見るのが好き、鉄道見るのが好き、という子でも相性がいいんです。

安浪:確かに。いきなり長文を読ませて、読解のテクニックを覚えさせようすると、途端に子どもは国語が嫌いになってしまいます。とはいえ、国語は全ての教科の基本ですもんね。算数でもそもそも文章題で問われていることを読み解けないから解けない、という子も多いです。

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