北さんは、受験生の意識が二極化していると指摘する。
「従来通り難関校を狙う層と、偏差値や大学進学実績にとらわれないで、新しい教育に期待する層にわかれてきました」
ここで10月模試の注目校を見てみよう。男子校では獨協(東京都文京区)が大きく伸びている。21年度から2月1日に午後入試を導入。併願ができるようになったことから、大勢の受験生が足を運び、立地や環境の良さなどが認識され、人気に火が付いた。同様に21年度から午後入試を導入した神奈川大附属(横浜市)も注目され、志望者数を伸ばしている。日本大学系の付属は21年度に引き続き好調。特に日大系付属の唯一の男子校、日本大豊山(東京都文京区)は連続で志望者を増やしている。ただ今後、日大の不祥事が付属校の志望者数にも影響するかは未知数だ。
■低迷していた女子校人気が復活
一時期低迷していた女子校の人気も復活。歴史のある伝統校が盛り返している。特に山脇学園(東京都港区)の伸びが目立った。
「赤坂という立地に加えて、短大の施設を上手に活用し、イングリッシュアイランド、サイエンスアイランド、リベラルアーツアイランドという三つの教育プラットフォームを設置。SNSで盛んに発信するなど、デジタルの活用も進んでいる」(安田さん)
そのほか学習院女子(東京都新宿区)、実践女子学園(東京都渋谷区)、三輪田学園(東京都千代田区)、跡見学園(東京都文京区)なども伸ばしている。
「コロナ禍で学校説明会ができなかったため、新たな学校を知る機会がなく、知名度のある伝統校に人気が集まった。今は伝統校もあぐらをかいていないで、ICTを積極的に取り入れるなどしています」(安田さん)
一方、北さんは女子校の人気回復について、コロナの影響を指摘する。
「保護者に聞くと、授業の再開よりも、先生方がオンラインを駆使して生徒と学校とのつながりを保ったことへの感謝が大きかった。女子校は生徒のメンタルケアをきめ細かく行っており、それが評価されたのではないでしょうか」(北さん)
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