矢萩:ほんと、発達段階によりますね。あと、受験を始めるのも友達に影響されて、という子が多いけれど、辞めたいと言い出すのも友達がらみだったり。「仲の悪い子が同じ学校を受けることがわかったから受験やめたい」とか。女の子に多いかな。本当に子どもっていろいろ考えが変わるんですよ。

■矛盾をはらんだ言動に親はどう向き合うか?

安浪:6年生といっても、秋口までぐちゃぐちゃありますよね。特に、夏休みすぎて秋になってから「塾を辞めたい」「公立に行く」と言い出す子は多いです。塾がいちばんしんどくなる時期ですから。そんなときは、「一旦ちょっとお休みしてみようか」と言うこともありますし、「受験しなくてもいいけど、勉強したことは中学でも絶対役立つから勉強だけはもうちょっと続けてみようか」と言ってみたりすることもあります。でもその時期を乗り越えると、今まで「公立でいい」と言っていた子も「やっぱり受験する」って言い出すことが多いですね。ここまでやってきたという、子どもなりのプライドが出てくるんでしょうね。

矢萩:そもそも子どもの言動って矛盾をはらんでいるんです。「受験したい」と言ってみたり、「やっぱり辞めたい」と言ってみたり。だから「あなた前こう言ってたじゃない」と言っても仕方がない。ではどうするか。普段の対話の中で探っていくしかないと思っています。いろいろ言っているけど、相対的にこっちを言っていることが多いな、というのを捉えてほしい。どっちのほうを言っていることが多いかな、というのを対話によって情報収集していく感じです。

安浪:確かに。親も子どもが自分に都合が良いほうに動いている時は突っ込まないけど、そうじゃなくなった途端、「どうして?」と突っ込みだしたりしますから、矛盾があることはある。

矢萩:発達が早い子だと、それに気づいてしまって、わざと反抗的に違うことを言ったりしますからね。質問者さんの息子さんが「受験しない」と言い出しているのも、本心からかどうかは分かりませんよ。こう言えばお母さんが動揺して何か言ってくるかな?って。

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