矢萩:単純に「学力」が高い同級生が多い環境に行けばいいかというとそうではなくて。僕の場合、進学校に行ったけど、周りが大学名や偏差値基準の勉強勉強で嫌になってしまい、学校に行かなくなってしまったクチなので(笑)。どんな環境でどういう影響を受けるかはその子の個性なので、親だからといって、全部予測するのは難しいですね。

安浪:あとはお金の問題もありますね。私立中高一貫校に進む場合と公立の中学・高校では、学費の違いはもちろんありますが、中学受験の場合は、塾代もあります(別表)。塾代のなかの「諸経費」とは、定期代、お弁当代、スマホ代、車での送り迎えにかかるガソリン代などです。その他、個別指導塾に通う、家庭教師をつけるとなると、さらにかかってきます。とはいえ、お金の話は、データの出典によってかなり違います。今はオンラインサービスも充実してきていますし、それらを使ってカスタマイズできれば塾代をかなり抑えることも可能で、やり方はいろいろです。世間に出回っている数字に踊らされすぎないことが大切です。

【学費】はフコク生命HP「フコク生命の学資保険みらいのつばさ」教育資金シミュレーションから。【学校外活動費】はライフプランの窓口HP「中学受験の塾代について教えて欲しい」「高校受験の塾代について教えて欲しい」から/安浪京子作成
【学費】はフコク生命HP「フコク生命の学資保険みらいのつばさ」教育資金シミュレーションから。【学校外活動費】はライフプランの窓口HP「中学受験の塾代について教えて欲しい」「高校受験の塾代について教えて欲しい」から/安浪京子作成

安浪:詰め込み反対、っておっしゃる方って「勉強=詰め込み」と思っている方が多いように思います。より深くて広い思考を得るためには、知識は絶対必要です。知識を身につける過程にも人間的成長があります。ですからまずは知識を身につけることを「詰め込み」と思い込みすぎない方がいいかと。

矢萩:「詰め込み」という状態が続かなければいいと思うんです。僕自身も大手塾で指導していた経験があるのでわかるのですが、最初は興味がない勉強だった、でもやってみて、知ってみたらだんだん楽しくなった、という例はたくさんあります。子どもって意外と「楽しい・楽しくない」、「できる・できない」の境界線は曖昧なんです。知らないから興味がない、できないからつまらない、と思っているだけのこともたくさんあります。

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