安浪:中学受験の勉強をしている子と比べて、焦りを感じるのはわかります。でも、あまり表には出てこないことですけれど、中学受験しても、ただ通り過ぎただけで、ほとんど精神的な成長につながっていない子だってたくさんいますよ。親ばかりがいろいろ経験しました、というような(笑)。
矢萩:「無難にやり過ごすことを学びました」みたいなことですね。もしくは「好きでないことを我慢してやる能力だけが身についた」とか。
安浪:私や矢萩さんが関わっていれば、そうならないようにもっていきますけど(笑)。つまり、中学受験という選択をしなくても、そう焦らなくてもいい、ということです。とはいえ、小学校の勉強だけであとは放置でいいか、というと私だったらそうはしないと思います。子どもの興味にあわせて、数学や英語をやってみるとか、本をたくさん読ませるとか、何かしら取り組ませますね。小学生だと本人の主体性だけに任せておいたら、本当に何もやらなかったりしますから。子どもだけでなく、そもそも人間はラクな方向に流れていくものです。あと、お稽古ごとともそうですが、継続するからこそさまざまな壁にぶつかって、それを乗り越えた先で得られるものもあると思います。それを得られるようにサポートするのも、親の役割かなと思います。
(構成/教育エディター・江口祐子)
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