孔子には、四つのことがなかったといいます。第一に「主観的な恣意」、第二に「無理押し」、第三に「固執する心」、第四に「自分のことだけを考える執着」です。人間関係とは子どもと妻、両親、親戚、同僚……と、自分を中心に広がっていくものですが、その広がりの中に「恣意」を置かず、「人を大切に思う気持ち」を置けば、すべてがうまく円満にいくことを教えているのです。相談者さん、「人の集まる行事は苦手」という自分のことだけに執着してはいけません。ビシッとしたスーツを一着新調し、内面から自分を光らせ、それを6歳の息子さんへのお祝いにしてあげてください。堂々と胸を張って、明るく、美しい背中を見せてあげましょう。
【まとめ】
儀式は大事。自分のことに執着せず、息子さんの立場に立って考えて、新しい人生の始まりをお祝いしてあげよう
山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『ステップアップ 0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。2021年12月に監修を務めた『チコちゃんと学ぶ チコっと論語』(河出書房新社)が発売。母親向けの論語講座も。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。
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