2月24日、ロシアが隣国ウクライナに侵攻してから2カ月が過ぎた。ロシア軍はミサイルや戦車を使って短期間でウクライナを制圧する予定だったようだが、ウクライナ軍の抵抗が予想以上で、戦争は長引いている。「どうしてロシアはウクライナと戦争しているの?」と子どもから質問される親も多いだろう。現在好評発売中の子ども向けニュース月刊誌『ジュニアエラ5月号』で、ジャーナリストの一色清さんがわかりやすく解説している。
【図】ロシアとウクライナをめぐるわかりやすい相関図はこちら* * *
■同じルーツの"兄の国"が"弟の国"に侵攻
ウクライナのある地域は、中世にはキエフ・ルーシ公国という国があり、今のロシアもウクライナもこの国がルーツだ。
20世紀になると、世界で初めての社会主義国であるソビエト連邦(ソ連)ができ、広大な領土を持つ国となった。しかし、1991年にソ連が崩壊して多くの国に分かれた。ロシアもウクライナも、このときに独立した。
ただ、首都モスクワを含むロシアが人口の多さも領土の広さも群を抜いているため、ロシアのプーチン大統領は「ロシアが兄でウクライナなどが弟」という関係とみているようだ。
独立して民主主義国になったウクライナは、ロシアと親しくしようという政権と西ヨーロッパの国々と親しくしようという政権の間で揺れた。2014年に親ロシアの政権が倒れると、プーチン大統領は軍隊を出して、黒海に突き出たウクライナ領のクリミア半島を占領し、強引にロシアに組み込んだ。
さらにウクライナ東部にいて独立を目指す親ロシア派の武装組織を支援し、ウクライナ軍との小規模な戦闘が続いてきた。今回のロシアの侵攻にはそういう伏線があった。
■ウクライナのNATO入りを阻止するために起こした戦争
プーチン大統領が戦争をしてまでウクライナを従わせようとする大きな理由は、ウクライナがロシアとヨーロッパにはさまれた位置にあるためだ。
次のページへウクライナをロシアの言うことを聞く国にしておきたい