ウクライナがヨーロッパの国々と親しくなり、北大西洋条約機構(NATO)に入ることになれば、プーチン大統領からすると、すぐ隣にNATO軍がいることになり、心穏やかでない。

 プーチン大統領としては、ウクライナをNATOに入れさせないために、ロシアの言うことを聞く国にしないといけないと考えたとみられる。

 もちろん、ロシアの言い分が国際社会で通るわけがない。ウクライナがどの国と親しくしようが自由で、それを武力で一方的に変えさせようとするのは許されることではない。

 アメリカ、ヨーロッパ、日本などの多くの国は、ロシアに対して経済制裁を発動した。ロシア通貨のルーブルと外貨との交換を難しくしたり、ロシアが外国に持っている資産を差し押さえたり、ロシアの輸出品に高い関税をかけたりすることを決めた。

 ロシア国民の暮らしが苦しくなり、その打撃にプーチン大統領が耐えられなくなることを狙っている。

■浮き彫りになった国連の弱さと核保有国の独裁的リーダーの怖さ

 ロシアの侵攻を通じて、浮き彫りになった問題が二つある。一つは国連の弱さだ。国連で平和と安全に責任を持つのは安全保障理事会だ。

 常任理事国は5カ国で、ロシアも入っている。実行力のあることを決めるには、5カ国が一致して賛成しなければならないというルールがあるため、ロシアが反対すれば何も決められない。

 国連のしくみを変えて、国連の実行力をもっと発揮しやすくしなければならないと思った人は多いだろう。

 もう一つは、核保有国が独裁的なリーダーのもとで戦争を始めたときの怖さだ。ロシアは世界で最も多くの核弾頭を持つ国だ。プーチン大統領はウクライナに対して核兵器の使用すらにおわせる発言をした。

 アメリカをはじめ多くの国々が、この戦争に軍隊を送らないのは、戦いがエスカレートして核戦争になることを恐れているためだ。今回の侵攻によって、核を持つことが自国を守ることにつながると考える国が増えれば、世界はますます危険な状態になっていく。

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