安浪:ご質問者さん、ディベートとか、企業とのタイアップ、などとおっしゃっているので、今どきの探究授業をイメージされているのかしら?

矢萩:企業とのタイアップ授業って、特定の企業との繋がりがある先生が取ってきていたり、理事会との繋がりがある企業とやっていたりするケースが多いですね。もし、そのような授業を受けたいのであれば、それらを既にやっている学校に入る、という手はありますよね。ただ、親がやらせたいことと本人がやりたいことがズレていたら意味がないですし、そのような授業が必ずしも探究的というわけではないです。

■「偏差値」という基準で考えるとややこしくなる

安浪:この方のご質問の裏には、「たくさん知識があるほうが思考が深まるのではないか」という仮説があって、その知識を偏差値とイコールで考えていらっしゃるのかもしれないですね。

矢萩:厳密に言えば知識や経験と思考の幅や深さには相関関係があります。つまり、たくさんのことを学んでいて、いろんなことを知ってる子って、頭の中にある「目次」の数が多く、当然それは考えを深めるために有効です。ただ、そこに「偏差値」という基準が出てきてしまうとややこしくなる。だって、受験してなくてもたくさんのことを知っている子もたくさんいるわけですし。知識や経験が受験勉強的な座学の枠内にあるとしたら、探究という視点では必ずしも良いことばかりではありません。

安浪:そうですね。でも、より良い探究をさせるために、どんな学校を選んだら良いか、という迷いは感じられますし、そこまで考えて学校選びをしたい、という姿勢は素晴らしいと思います。

矢萩:ただもう一つ付け加えさえていただくと、「探究学習の効果が得られるかどうか」をご質問されていますよね。この「効果」は何をもって効果と捉えていらっしゃるのかな。

安浪:ああ、確かに。いろいろありますよね。現実的な大学進学につながることを言っているのか、それとも、地頭力がつく、教養が身につく、などを言っているのか。

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