■目的ありきの探究は、探究ではない

矢萩:そもそもの話をすれば 探究学習っていうのは目的ありきの活動ではないのです。その活動をしていたら、結果論としてこういうことが身につきましたっていう感じです。身につくことは人それぞれです。しかし、これを身につけるために探究学習をやりますって言うと、それはもう探究じゃないんですよ。

安浪:なるほど!その説明はものすごくわかりやすい!

矢萩:一つのことを探究していく過程で、それぞれが何らかの知識やスキルを身につけていき、結果的に成長していく、というイメージでしょうか。

安浪:そう考えると探究していく過程で本当に必要なのは、単なる知識ではなくて、その子なりの興味なのかもしれないですね。その興味をどう引き出していくかが、先生側に問われるということですね。

矢萩:そうです。ついつい正解や効果を求めがちな大人からすると、なかなかしっくりこないかもしれませんが。

安浪:でも今回は割とはっきりとした答えが出てきましたね。「探究的学びと偏差値は関係ない」ということですよね。でも、それをうまく回せる先生がいるかどうか、というのはわかりづらいところではありますが、「うちの学校は〇〇のために探究に力を入れている」という説明をしていたら、その学校の探究は探究ではない、と判断がつきますね。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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