(4)日常生活の中で数を意識した言葉かけをする

「算数のできる、数に強い子に育てたい」と思っていたタエさんは、いきなり計算ドリルなどは使わずに日常の生活のなかで数や大きさを意識させていった。        

 たとえば、おやつを食べるときに「3つ食べようか。1、2、3、どうぞ」。年齢が上がってくると、声かけも難易度アップ。「友達みんなに2つずつ渡してね。いくついるかな? 3人いるから、1、2……6個だね」といったように、常に数字を意識させてきた。

「普段の会話に交ぜるだけ。特別な用意はいらないし、お金もかからないので、すぐできますよ」

 ちなみに、勉強としてドリルを始めたのは、幼稚園の年長になってから。キリくんの好きな工作ドリルにまずは誘い、それが終わった後にひらがな1文字を書いていた程度で、算数のドリルも少しはやっていたが、学習ドリルは小2になってから本格的に始めたという。

*  *  *

 幼児期の芽をどう伸ばすかは、親の声かけや周囲の環境によるところが大きい。遊びのなかで好奇心や熱中する力、集中力を育むことが将来の学業へとつながる部分もあるし、親子関係にも影響するだろう。

「子どものタイプもあるとは思いますが、うちの場合は小さいときから必要以上に叱らないようにして、好きなことを親子一緒に楽しんでほめてきました。だから、息子の自己肯定感は世界レベル。大きくなった今でも、他人より劣る部分があっても『ぼくにはこんな良いところがある』と気にしていません。自分が愛されている自信があり、かけがえのない存在だと考えているからでしょう。だから周囲の目を気にしすぎることなく、困難があってもやりたいことに向かって突き進んでいるのだと思います」

(取材・文/小林佳世)

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朝日新聞出版

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小林佳世
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