大切なことは、たとえ受験で思い通りの結果が得られなかったとしても、その体験が家族の財産になるように、親子で試行錯誤を続けることじゃないでしょうか。
何度失敗しても、君らしい人生を歩けると伝えたい
――受験の失敗体験を財産にするために、親ができることとはなんでしょうか?
何がその子のためになるかは誰もわからないし、最終的に受験はうちの子に早すぎたと撤退する家庭もあると思います。そうした体験が、すぐに成長につながるかどうかもわかりません。
ただ、親は親できっと、子どもに幸せになってほしいと願ってやったこと。
だから、もし思い通りの結果にならなかったとしても、この体験をどう次に生かすかを考えて、きちんと子どものケアをしていくことが大切です。
受験がうまく行かなかったとしても、「これは人生の失敗じゃないよ」と心から伝えられるかどうか。そこから、どうリカバリーしていくかを考えなくちゃいけない。
「合格しなくても、あなたには別の力がたまったんだよ」とたくさんの言葉と物語で子どもに伝えていかないといけないと思います。親はもちろんですが、受験産業に関わる大人たちも、みんなそこを大切にサポートしてほしいですね。
そうでないと、子どもの心が傷つき、自信がごっそり削られてしまう子もいる。子どもたちのリカバリーを信じてあげることも大切ですが、やはり受験後のケア対策というのを大人は真剣に考えて、人を育てていくことが重要だと思いますね。
「自分の人生の地図」を描けば、どの道を選んでもあなたらしくなる
僕ができることは、やっぱり絵本という形を使って、「ちょっと変なおじさん」という立ち位置で、受験のようなこととは異なる「もう一つの世界」を見せることかなと思っています。
2023年に『ぼくはいったいどこにいるんだ』(ブロンズ新社)という絵本を出しました。この中で、「自分のちず」が出てくるんです。すごろくのように人生を進めていくのだけど、どのコースを通っても、最終的には必ず、その子らしい人生につながっていく、ということを描いています。
