東田:家族という舞台の「演出家」として、母親が父と娘の距離を縮めようとした。子どもにとってはそれが無自覚でも、あとから振り返って大きな影響があったことに気づく。受験は、親子の関係性を深く掘り下げる契機になりうると改めて感じました。

 私は、中学受験には否定的ですが、もし挑戦をするならば、“冷静さを保つ”ことが一つの考え方になると、『問題。』を読んで思いました。

“ナビゲーター”が親の役割

――受験において、親の役割は何か。

東田:高校受験では、親の役割は健康管理と情報収集、そして前向きな声かけ。それだけで十分ですと伝えます。

早見:逆に中学受験では、親がコミットしなきゃいけない部分は確実に増えていますよね。好きな言葉ではないですけど、「親の受験」とも言われるようになっています。

東田:情報過多の時代において、情報収集をする親の負担は確実に増してはいます。でも親は誘導ではなくナビゲーターであるべきで、子どもが自分で決めるための材料を整えるのが役割です。

『問題。』の中で、とても気にいっている母親のセリフがあります。「私はあんたに『私たちより先に死ぬこと』と『法律を犯すこと』以外は何してもいいってずっと言い続けてきた(抜粋)」です。

早見:その言葉は、僕が常々思っていることでもあります。親が子どもに過度な理想を押しつけず、生きていてさえくれればそれでいいという究極の願い。そういう親の姿勢は、子どもにもきちんと伝わると思います。

(文/長谷川拓美・朝日新聞出版DXIP戦略本部)

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