小学1年生は、夏休み前に、小学校から朝顔を家に持って帰ってきます。そして夏休みの間、朝顔の世話をして、また、2学期になると小学校に朝顔を持ち帰ります。そもそもなぜ、夏休みに朝顔を育てるのでしょうか。親御さんの素朴な疑問に、大阪の公立小学校の現役教師・松下隼司先生に教えてもらいました。

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なぜ学校で朝顔を育てるのか?

 大阪の公立小学校教師(23年目)の松下隼司と申します。

 小学1年生は、1学期、学校の授業で朝顔を育てることが多いです。子ども1人ひとり、個人持ちの植木鉢で種から育てます。

 そして、夏休み前に、家に持って帰って育てます。このことを親御さんに、7月の期末個人懇談会や学年だよりで、「生活科の授業で1学期から朝顔を育てて、観察する学習をしています。夏休み期間も子どもたちにその学習を続けてもらいたいです。お手数ですが、夏休み前に持ち帰っていただいて、また2学期に持ってきていただきたいです」と説明していました。

 でも、あるとき、小学生のお子さんがいる知り合いのお母さんから、「なぜ、朝顔を学校で育てるんですか?」と質問を受けました。そういえば、私も小学1年生の担任をしたとき、そこまで丁寧な説明をしてませんでした。もっと詳しく伝える必要があったと省みました。

 そこで、(1)学校で朝顔を育てる理由・(2)家に持ち帰って育てる理由・(3)朝顔の理由、の3つについて私なりに考えてみました。

 まず、小学1年生の生活科での朝顔の学習は、学習指導要領に基づき、「子どもたちが身近な動植物に関心をもち、観察や世話を通して成長の過程を理解すること」を目的としています。具体的には、種をまくことから始まり、水やりや日光の当て方などを工夫しながら、観察カードに記録したり、成長の様子を友だちと共有したりします。こういった活動を通して、科学的な思考力や表現力を養います。

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松下隼司
松下隼司

1978年生まれ。奈良教育大学卒業。大阪の公立小学校に勤める現役教師。2児の父親。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞。令和6年版教科書編集委員を務める。著書に絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)、『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、『教師のしくじり大全 これまでの失敗とその改善策』(フォーラムA企画)などがある。教師向けの情報サイト「みんなの教育技術」で連載を持つほか、Voicy「しくじり先生の『今日の失敗』」でパーソナリティーを務める。

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