首都圏では中学受験が過熱している日本。世界的に見ても、中学受験がこれほど盛んで塾や模試のシステムも整備されている国は珍しいようです。そうなると、子どもの勉強をサポートするのは学校か親か。オーストリアで3児の母として子育て中のライター・御影実さんが、現地の家庭学習事情をレポートします。※後編<オーストリアでは小学生でも留年の危機⁉ 小中高生の50%が「留年救済用の家庭教師」を利用>に続く
【写真】オーストリアの小学生の筆箱は弁当箱サイズ! その中身は?* * *
筆者が暮らすオーストリアには、塾がありません。中学受験や高校受験がないので、受験勉強のために塾に通う必要がないんです。受験勉強や塾がなければ、テストに追われないのんびりした生活になりそうな気もしますが、実際のところはどうなのでしょう?
今回は、塾がないオーストリアで、子どもたちがどうやって成績を上げているのか、親がどのように子どもの勉強に関わっているかをご紹介していきます。
学校の授業時間が短すぎて宿題が大量に!
オーストリアでは大きく分けて、大学進学を目指して10歳で「ギムナジウム(日本でいう中高一貫教育校)」に進む進路と、手に職をつける進路の二種類があります。大学進学を目指す場合、日本のような厳しい受験がない代わりに、小3~小4の成績によってギムナジウムに入学できるかが決まります。
学校の勉強だけで十分ならよいのですが、オーストリアの学校は、日本より授業時間が少なく、昼過ぎで学校が終わります。短時間の授業で内容を詰め込むので、学校で終わらない分を補うために宿題が大量に出て、必然的に家での勉強時間が多くなります。

成績優秀でギムナジウムに入れたとしても、成績が落ちるとすぐ留年になってしまうオーストリア。学校の授業と宿題だけでは勉強量が足りないため、試験前は親子で頭を突き合わせて、週末返上で応用問題や、難解な作文の対策をすることになります。
親としては「学校で全部習ってきてくれたら親が楽なのに……」とため息をつく日々です。
親の学力が子どもに直結
国際的にみても、オーストリアの教育は親や家庭の影響を強く受けるという統計があり、実際、80%以上の親が子どもの勉強を手伝っています。
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