私はこれまで何も考えずに生きてきた。考え続けていくうちに、私はこれまで自分で何も決めずに生きてきたことに気づかされた。

 引っ越しをしたおかげで、通勤時間という自分一人だけの時間を持てるようになったこともあり、私はたくさんの本を読めた。当時はまだ不登校についての書籍は少なかったが、あちこちから取り寄せて、読み漁った。不登校に関する書籍だけでなく、何度も読み返したのが、稲盛和夫さんの『生き方』だ。この書籍から私はたくさんのことを知ったし、大変救われた。

 人はつらくて生き方がわからなくったとき、誰かに、あるいは何かに寄りかかりたくなるもの。当時の私は、今の辛い状況がお金で解決できるのなら私はいくらでも払うという気持ちだった。寄りかかる先を書籍に見つけられたのは幸いだった。

※第2回〈「命にかえても守りたいのは息子」 不登校児の母親が振り返る“夫への罪悪感”と決意とは【体験記】〉に続く

【第2回はこちら】「命にかえても守りたいのは息子」 不登校児の母親が振り返る“夫への罪悪感”と決意とは
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小沼陽子
小沼陽子

NPO法人優タウン代表。神奈川県茅ケ崎市生まれ。藤沢市在住。2児の母。子どもの不登校をきっかけにホームスクーリングを実施。その孤軍奮闘した経験から20年務めた大手企業を退職し、2017年に「ホームスクーリングで輝くみらいタウンプロジェクト」としてプロジェクトを立ち上げ、現在は地域の人たちと子どもを育て合い、どんな子どもも生きやすい街と社会を目指してさまざまなプロジェクトを立ち上げ、活動中。

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