――子ども一人ひとりが、自分ごととして考えるということですね。

  いじめを予防するのは、共感する力です。誰かの「つらい」「悲しい」「さびしい」という気持ちに気づいて、それを見過ごさないこと。

 これは現代社会が求めている、非認知スキルの一種です。非認知スキルとは、知能検査や学力検査で測定することができない能力のことです。思いやり、協調性、忍耐力、自制心、社会性……。

 この能力の向上こそが、将来に起こりうるさまざまな問題の予防に効果があると、経済協力開発機構(OECD)のレポートでも報告されています。

 結局のところ、いじめの予防とは、子どもの中に人間関係を築く力を育てることにほかならないのだと私は考えています。

 (取材・文/神 素子) 

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神素子
神素子

ライター じん・もとこ/教育系出版社を経てフリーに。雑誌・ウェブ・書籍などさまざまな媒体で、子育て、教育、医療、介護、高齢期などをテーマに記事を執筆。

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