「たとえば図形の場合、実際に手先を動かして竹ひごで辺を作って粘土で頂点を作る学びと、画面で見る図形とでは理解度が違う気がします。発達段階にどう合わせればよいのか。タブレットはあくまで文房具なので、アナログとデジタルとで上手に使い分ける必要があると思う」と話します。

移動する教科は破損のリスクがあるので使えない?

 教科によっても使用頻度に差が生じています。この女性の勤務校では音楽も導入されていますが、実際にはあまり使われていないそうです。

「音楽は音楽室へ移動します。そこまで小学生がiPadを持って移動するとなると、落としたり踏んづけてしまったりのトラブルが予想されます。危なくて持たせられません。それに生の楽器の音や歌声の方がいいですから、積極的に使う先生は少ないようです」と話していました。

(取材・文/大楽眞衣子)

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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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