同じ小学校でも教員格差が浮き彫りに
最近の学校では日常の光景となった電子黒板等を使った授業。指導者用デジタル教科書は学校現場にも浸透してきましたが、これも使うかどうかも教員の判断に委ねられています。
「全く使わない先生もうちの学校にはいます。長年紙の教科書だけで教えるスタイルでやってきたので、紙でも十分と感じているのではないでしょうか」と打ち明けるのは、熊本県の公立小に勤める20代女性教員です。女性は社会や算数で教員用のデジタル教科書を使いこなし、手応えを感じています。
「社会の(指導者用)デジタル教科書は内容に沿った映像を流すことができます。例えば遠い地域の農家さんの映像も簡単に流すことができ、文字で読むだけより子どもたちは身近に感じているようです。算数も図形を動かしながらわかりやすく説明できます」
女性の担任クラスは小学4年生のため、まだ児童にはデジタル教科書が配備されていませんが、「子どもたちのタブレットにもデジタル教科書を入れてほしいです。そうすれば紙資源を減らすことがきますし、家に持ち帰ってからもデジタル教科書の特典が見られます」と今後の拡大に期待を寄せます。
デジタルの良さを実感……でも「忙しくて手が回らない」
岐阜県で高学年を担任する20代男性も、指導者用デジタル教科書による時短効果と学習効果を実感しています。
「算数の場合、以前は画用紙で作った大きな教材を準備していましたが、デジタル教科書のおかげでその手間がなくなりました。国語は本文を黒板に書いたり、教科書を拡大コピーで用意したりする必要がなくなりました。英語は特にありがたくて、きれいな発音で読んでくれますし、内容に沿ったアニメーションのような映像もある。英語と場面が一致しやすく、日本語を介さずに理解できます」
しかし、児童用のデジタル教科書はまったく使えていないのが現状です。
「使った方がいいだろうなとは思うのですが、自分の仕事が忙し過ぎて子どもたちのデジタル教科書まで手が回らないというのが現実です。まだ(学習者用を)開いたことがないので僕自身が教師用のデジタル教科書との違いを理解していません」と苦笑いします。
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