仕事の調整もつけやすいよう、休みを最大で4分割できるようにし、さらに、2021年からは、産後8週間は1日単位で何度でも取得できるようにして、個々の事情に合わせてより柔軟に休みを調整してもらえるようにしました。

——家族や業務の都合に合わせて、柔軟に取得できるんですね。

 共働き世帯の男性社員の場合は、出産直後に2週間、そして妻の仕事復帰のタイミングに合わせて残りの2週間を取得し、保育園の慣らし保育をパパが担当する、というケースも少なくないようです。「おかげでスムーズに仕事復帰できる!」と、妻側からも好評のようです。


 また、「育休中、何をしたらいいんだろう?」という社員も主体的に家事育児に関われるよう、育休前には当社オリジナルの“家族ミーティングシート”を使って、育休中の家事育児の分担を夫婦で話しあってもらうようにしています。

福利厚生ではなく、“経営戦略”としての男性育休


——制度導入に当たって、苦労したことは。

 一番の壁は、上司層の意識改革でしたね。かつての自身の体験から、「俺の時代は、仕事から帰ったら子どもが生まれてたよ」とか「里帰りしてもらって実家に任せておけば安心だよ」など、男性育休の重要性をなかなか理解してもらえないこともありました。

 そこで、制度導入の翌月(2018年10月)に、“社内版男性育休フォーラム”を開催し、男性育休対象者とその上司に参加してもらいました。社長が自ら「男性育休は、取りたい人だけが取るという福利厚生ではなく、『経営戦略』として取り組むものです」と力強く宣言。また、「半年以上前から時期を想定できる育休をチームメンバーに取得させられないマネージメントで、今後、介護や怪我の治療など、突発的な休業に対応できるでしょうか。あなたたち上司のマネージメント力も問われているのです」というメッセージを直接伝えました。

 有識者として登壇いただいたNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也さんからは、男性育休の意義、父親が子どもに与える影響などについて情報提供頂きました。

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