勉強は「苦行」ではなく楽しいもの
――子どもを勉強嫌いにさせないためには、どうすればいいでしょうか?
手軽なのは、勉強が楽しくなるグッズの力を借りる方法です。先ほど紹介したタイマーも、最近は勉強専用のものが販売されているので、お子さんが気に入ったものを買ってもいいと思います。机の上を転がして使う卓上クリーナーや両側からバランスよく使うと富士山の形になる消しゴム、色やデザインのバリエーションが豊富なペングリップなども、小学生におすすめです。
――保護者にできることは、何でしょうか?
勉強は「苦行」ではなく、楽しいものだということを、お子さんに伝えてほしいですね。そのための一番手っ取り早い方法は、保護者の方自身が楽しく学ぶ姿をお子さんに見せること。趣味でも資格試験でも語学でも、お父さんやお母さんが楽しそうに学んでいる様子を目にすれば、子どもも自然に「何かを学ぶのって、楽しいことなんだ」と考えるようになるはずです。
役に立たない勉強は存在しない
――親が自ら「楽しく学ぶ」お手本を見せる、ということですね。
幼い子どもたちは、保護者の言葉や態度から大きな影響を受けるので、「勉強しても意味がない」とか「勉強は役に立たない」といったことは、絶対に言うべきではありません。そういうことを言う人は、多分、自分が学んで来たことの役立て方に気付かなかっただけ。それを学校や勉強のせいにしてお子さんに伝えてしまうと、お子さんの将来に残念な影響を与えてしまいかねません。
人生における勉強の“役立ち方”には、種類があります。学んだことがそのまま生活に役立つ場合もあれば、考え方のプロセスが役立つ場合もあるし、勉強を継続する中で得た自信や自己肯定感が役立つこともあるでしょう。勉強をしなくても幸せな人生を送ることはできますが、勉強をすれば人生はさらに彩り豊かなものになる。そういった意味で、「役に立たない勉強」は存在しないと、私は思っています。お子さんには、「勉強したことは必ず将来あなたのためになるし、努力はいつか実を結ぶよ」と教えてあげてください。
(構成/木下昌子)