私が演じた朱音は、シングルマザーであり、なんとか子ども2人を育てていかなければと、仕事を掛け持ちしながら必死に頑張っている役柄です。ずっといっぱいいっぱいのなかで子育てをしてきたのだろうな、と想像することができ、“母親としての停滞期”を迎えているのかな、なんて感じながら演じていました。置かれている状況から抜け出したいけれど、抜け出せない。そんななかで子どもは成長していく。子どもの成長は止まらないので、そうした現実を目の当たりにして焦ってしまう部分があったのかな、と。

中学卒業後に上京 東京は別世界の話だった

 現実から逃れたくなることもあるのだけれど、そんなときに子どもを見ると、本当に純粋で真っすぐな瞳をして前を向いている。そんな息子の話に耳を傾け、可能性を信じてみる。朱音はそんな母親であり、その強さは素敵だな、と感じながら演じていました。

 沖縄を出てみたい、と考えるようになる息子の踊君の気持ちも、沖縄出身の人間としてとてもよくわかりました。周りを海に囲まれ、その海を越えて東京に出ていくことは、とても大きな出来事なんですよね。「東京」「電車のある場所」「雪が降る地域」といったところは、私も沖縄を出るまではどこか別世界の話だと感じていました。

 私は中学を卒業してから東京に出てきたのですが、東京に出てくる前は不安もありましたし、「なじめるかな」という思いもあったので、踊君が感じていた、一歩ずつ前に進んでいくことの不安というものはすごくよくわかるな、と。

 自信があるわけでもなく、新しいことを見たり、聞いたり、学んでいかなければならないなかで、自分がどれだけ学んでいけるのか、という不安は誰しもが抱えていると思います。若い人なら誰もが「わかるな」と思えるところがあり、共感して見てもらえる作品なのではないでしょうか。

仲間由紀恵さんに聞いた!仕事のこと、子育てのことQ&A

Q.挑戦してみたい作品は変わりましたか?

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