算数は苦手でした。小学校の算数の成績はよかったんですよ。でも、あの中学受験特有の算数の問題は、小学校で解いてきた問題とは比べ物にならないほど難しくて、最初はまったく解けませんでした。ひたすら問題を解いて解き方を覚えようとしましたが、なかなか身につかず、最後まで苦労しました。入試本番でも、国語・理科・社会はよくできたと思うんですが、算数は解答用紙を半分くらいしか埋められなかったです。
中学合格のその日、父から告げられた「卒業まで授業料免除めざせ」「大学は国公立か早慶」
――そうしてがんばった結果、郁文館の特進クラスに合格できたんですね。
うれしかったんですが、第1志望の都立は落ちてしまい、郁文館も特進クラスに受かりはしたものの、狙っていた授業料免除はダメだったので、父に入学を認めてもらえるか不安でした。でも、どうしても地元の中学には行きたくありません。帰宅を待てず、仕事中の父に電話して、「授業料免除にはならなかったけど、行かせてください」とお願いしました。
父は入学を認めてくれたのですが、こんな条件を出されました。「中2から卒業までの5年間は授業料免除になること。大学は国公立か早慶に行くこと。そのつもりでしっかり勉強してください」。入試の成績で授業料免除になるのは中1の1年間だけで、中2以降の授業料免除は入学後の成績で決まるので、それを目指してがんばれというのです。厳しい条件ですけど、言っていることは理解できるし、その時はとにかく「がんばります」と答えるしかありませんでした。

(取材・文/十枝慶二)
※後編〈慶應大卒・山崎怜奈が語る中高生時代「父と『卒業まで成績上位で授業料免除をめざす』と約束、勉強に前のめりでした」〉に続く
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