「この中学に行きたい」でなく「どこでもいいから受かりたい」
――志望校はどうやって決めましたか?
スタートが遅かったのでいくつもの学校の対策はできないし、親には金銭的な負担をかけることにもなりますから、なるべくお金のかからない学校に絞ることにして、第1志望は都立の中高一貫校、第2志望は私立の郁文館でと決めました。都立なら学費が安いですし、郁文館は私立だけれど特進クラス合格者の成績上位者には入学金や授業料免除があるので、そこをめざすことで父にも受験を認めてもらいました。
とにかく環境を変えたいと必死で、初めでできる女子の制服がかわいいだろうかとか、そういう関心はいっさいなかったですね(笑)。「この中学に行きたい」でなく「どこでもいいから受かりたい」という思いでした。
東野圭吾や恩田陸の小説を読み漁っていた経験が国語に生きた
――小6の夏は、受験を始めるには遅い時期ですが、受験勉強はどのようにしましたか?
個別指導塾に行きました。早くから受験を決めた子が通う大手の進学塾に途中から入っても、ついていけないと思ったからです。始めたのが遅かったので、とにかく時間を無駄にできないと思い、ほとんど遊ばないで必死で勉強しました。今いるこの環境から逃げるには合格するしかないと、退路を断つような気持ちでした。年末にインフルエンザにかかって塾に行けなくなってしまったときも、熱を出してもうろうとしながら家で勉強していました。
――得意科目や苦手科目は?
国語は得意でした。幼いころから本を読むのが好きで、文章を読むのも漢字を覚えたりするのも苦ではなかったです。小1のころから、お小遣いをもらって、自分で好きな本を買って読んでいましたね。小説も図鑑も科学読み物も、ジャンルはいろいろ。誕生日のプレゼントも図書カードでした。
よく読んだのが、映画やテレビドラマの原作本です。映画化が決まると、本の帯が変わるじゃないですか。それで気づいて手に取ったりとか。私、映画を見る前にまず原作を読んでおきたい小学生だったんです(笑)。東野圭吾さんを片っ端から読んだのは、確か、テレビドラマ『ガリレオ』がきっかけでした。恩田陸さんも好きでしたね。歴史の本や科学読み物も好きでしたから、社会や理科の受験勉強にも生きたと思います。
次のページへ父から告げられた入学するための条件