おすすめポイント

 舞台は、山の上のやぎたちの小学校。豊かな自然に囲まれた、のどかな学校生活が描かれています。ハキハキ元気なメーコちゃん、はずかしがりやのすずちゃん、ムードメーカーのベエきちくんなど、個性あふれる一年生の面々に囲まれている、ひときわチャーミングな「一年生」が、新米のやぎこ先生です。

 先生になったばかりのやぎこ先生はおっちょこちょいで、あれこれやらかしてしまうのですが、いつも明るく元気です。こやぎたちよりも子どもっぽいところもありますが、そんな先生のもとにいるこやぎたちはとっても楽しそう。

『やぎこ先生 いちねんせい』(ななもりさちこ 作/大島妙子 絵/福音館書店 刊)

 笑い声が「メヘヘッ」「メフフフ」だったり、電話の音が「メレレレレン メレレレレン」だったりと、ほのぼのとしたエピソードの中に、クスッと笑えるユーモアもちりばめられています。絵のないページもありますが、せりふが多く、お話は1話ごとに完結するので、時折入るイラストを頼りにそれぞれのシーンを想像しながら読み進んでいけることでしょう。

 やぎこ先生の巻き起こすハプニングを発端としたエピソードからは、「失敗したっていいんだよ」というやさしさや、おおらかさも伝わってきます。そう、誰だって最初は一年生。やぎこ先生もこやぎたちも、1年かけて少しずつ成長していくのです。

 大島妙子さんの描くやぎたちがとてもかわいらしく、こんな学校いいなあ、こんな先生いたら楽しいなあと思わせてくれるお話です。

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