映像授業が効果を発揮するケースとは

安浪:映像授業がいちばん効果を発揮するのは、対面の塾に行っていて、授業で先生が言っていることがわからなかった、テキストの解説を読んでもわからない、という場面だと思います。例えば算数の「ニュートン算」がどうしてもわからない。そして次のテストに出るのでなんとかできるようにしたい、という気持ちが子どもの中にあるときに映像授業をみると、その内容はめちゃくちゃ入りますね。

矢萩邦彦さん

矢萩:塾が配信している映像授業の中には「生配信」のものもありますし、飽きないように工夫されている「劇場型」の授業動画もありますが、そもそも先生がしゃべっているだけの授業だったら、対面でも映像でも変わりません。しかし、きちんと先生からの発問があって、ちゃんと生徒との対話が織り込まれているような授業なら、参加している実感が違いますよね。対話型の授業はリアルタイムのオンライン授業であれば可能です。あとは塾の映像授業って50分とか60分ぐらいあるものも多いじゃないですか。やりとりがない状態でその時間ずっと集中力を持たせるのは小学生には厳しいと思います。YouTubeのような5分、10分ぐらいに細切れの時間なら集中してみられるかもしれませんが、それはそれで連続性がないんですよね。

安浪:しかも、映像授業だと速度を早めてみる子が多いですよね。

矢萩:そうなんですよ。実は1時間の授業の中でも考える時間って結構大事です。映像授業でも「はい、一旦画面を止めて考えてください」という声掛けがあったりしますが、ほとんどの場合、指示通りにはやらないです。絶対早送りする(笑)。

安浪:矢萩さんはオンライン授業をされていますが、どうやって考える時間を設けているんですか?

矢萩:「今から3分間あげるので、これを考えてみて」と言った声かけはちょこちょこ入れます。あとは、答えにたどりつかなくてもいいから思ったことを何か書いてください、というナビゲートはしますね。顔出しで他の子の様子も映っていると、自分もやらなきゃ、という状況にはなるんです。やはり環境の力は大きいです。

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