2024年10月、6年ぶりに史上最大の「素数」が見つかりました。4102万ケタ以上あり、これまでの最大より1600万ケタ以上多いそうです。とはいえ、気が遠くなるほどの大きな数で、今回の発見のすごさのイメージがつかない人も多いでしょう。まずは「素数って何?」というところから、おさらいしてみましょう。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ2月号」(朝日新聞出版)から紹介します。

史上最大の「素数」、声に出して読むと1年以上かかる!


 4102万ケタ以上ある史上最大の素数が2024年10月、見つかりました。6年前に発見され、これまで最大だった素数より1600万ケタ以上多く、大幅に更新。気が遠くなるほど大きな素数はどんな数で、どうやって見つけられたのでしょうか。

 素数は、1とその数自身でしか割り切れない正の整数のことです。2、3、5、7、11……と無限に存在しますが、どの数が素数になるか規則性は解明されていません。

 今回発見された素数は、「8816……」から始まり、「……1551」で終わる数。4102万4320ケタあり、1ケタを1秒で読み上げていっても、読み終わるのに1年以上かかるほど巨大な数です。

 発見したのは、アメリカのルーク・デュラントさん(36歳)。デュラントさんは、アメリカ半導体大手「エヌビディア(NVIDIA)」の元従業員です。世界中にあるGPU(画像処理装置)のパソコン数千台をネットワークでつなげ、同時並行で大量に高速計算して、この数が素数であることを発見しました。世界中のコンピューターをつなぎ巨大素数を探るプロジェクト「GIMPS」も検証し、素数と確認されました。アメリカの報道によると、デュラントさんは発見に1年の時間と200万ドル(約3億円)の自己資金を費やしたそうです。

 整数の中でも特別な数である素数。宇宙のどこかにいるであろう知的生命体に送る電波メッセージの文案の中にも素数が入っています。受け取った宇宙人が、人類の数学力のすごさに驚く日がいつか来るかもしれません。

発見者のルーク・デュラントさんは、アメリカ半導体大手「エヌビディア」の元従業員

〇文/石倉徹也(朝日新聞科学みらい部)

算数・数学が得意な子は、遺伝なのか? 親が与えた環境はどの程度影響するのか、行動遺伝学者が解説
ジュニアエラ 2025年 2月号 [雑誌]

朝日新聞出版

ジュニアエラ 2025年 2月号 [雑誌]
著者 開く閉じる
石倉徹也
石倉徹也