子どもが目の前の問題をなかなか解けないとき、親はどのような“声がけ”をするのが効果的なのでしょうか? タブレット教材によるオンライン教育事業を通じて、全世界の小学生から30億件を超える学習データを所有する「RISU」では、特に成績のよい子どもの親御さんにアンケートをしたところ、多くの人が「子どもの勉強に口は出さない」と回答したそうです。RISUを運営する今木智隆さんの著書『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法』(文響社)からお届けします。

MENU 今日も全国で繰り広げられる残念なシーン 親によって子どもの「自分で考える」機会が奪われる 親が本当にやるべきこと

今日も全国で繰り広げられる残念なシーン

 子どもがまだ目の前の問題を一生懸命考えているのに、止まっている手に耐えられなくなった親御さんが、「ほら、こうすれば解けるでしょ」と横から回答を書いてしまう――RISUがショッピングモールなどで開催している体験学習会で、私たちがしばしば目にする残念な光景です。

 このとき、家族ということでつい感情的になり、 「なんでわからないの」 「情けない」といったきつい言葉を投げかける親御さんもいます。子どもがそれに反発してけんかになると、もう勉強どころではありません。子どもを手助けしてあげたくなるのは、基本的には親心なのだと思います。しかし、本当にそれだけでしょうか?

「こんな簡単なことを、うちの子はなぜわからないのだろう?」

 そんなイライラを解消するために、つい親御さん自身で問題を解いてしまったのではないでしょうか。その解答を子どもに見せつけることで、何かを成し遂げた気になってはいないでしょうか。でもそれは、子どもではなく親御さん自身の(意味のない)達成感ですよね。

 いずれにしても、本当に子どものためを思うなら、こういうときに親御さんは子どもに答えを教えてはいけません。

親によって子どもの「自分で考える」機会が奪われる

 親が教えれば、たしかにその問題の解答はすぐに得られるでしょう。しかしそれは、子どもが「自分で考える」機会を奪われることでもあります。困難に直面したときに解答が親からすぐ与えられることが癖になれば、子どもの自主性も育ちません。
そもそも、親御さんの教え方は適切でしょうか。

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今木 智隆
今木 智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザ行動調査・デジタルマーケティング領域専門特化型コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売り流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。 タブレットを利用した小学生の算数の学習教材「RISU算数」で、のべ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。

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