「頭のいい子」というと、たくさん勉強しているイメージがあります。しかし「机に座って行う勉強だけが子どもの学力を向上させるわけではない」と語るのは、全国トップレベルの子どもの学習データを所有・分析する「RISU」の今木智隆さんです。学校や塾から出されるたくさんの宿題より、大切なこととは何でしょうか? 今木さんの著書『小学生30億件の学習データからわかった 算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法』(文響社)からお届けします。

MENU トップレベルの親が最も尊重しているのは子どもの自主性 子どもの興味関心を肯定する 「自主的な学び」を邪魔しない

トップレベルの親が最も尊重しているのは子どもの自主性

 全国トップレベルの子どものご家庭を対象に、「教育において最も大事にしていることは何ですか?」というアンケートを行ったところ、ほとんどの親御さんが「子どもの自主性」と回答されました。

「自主性」とは、他人からの指示がなくても、やるべきことを自ら率先して行う姿勢のこと。人が独立した個人として社会で成功するために、必要不可欠な資質です。先のアンケート結果は、子どもの自主性を尊重している親御さんの養育下では、「頭のいい子」が育つということを示唆していると言えます。

子どもの興味関心を肯定する

「頭のいい子」というと、たくさんの参考書やドリルで勉強しているイメージをもたれるかもしれません。しかし、机に座って行う勉強だけが子どもの学力を向上させるわけではありません。

 友だちとの遊び、スポーツ、読書、趣味......日常生活の何気ないシーンで、子どもはさまざまな物事に興味を抱きます。全国トップレベルの子どもの親御さんたちが心がけているのは、子どもが何かに興味をもっていることに気づいたら、その興味を肯定してあげること。そして、その興味が自然に「学び」につながるようにサポートしてあげるということです。

 たとえば、子どもが「やってみたいな」と口にした習い事があれば、できるだけ経験させてあげる。子どもが「読みたい」と言った本はすぐに買い与える。博物館・科学館・美術館・水族館・動物園などの教育施設に積極的に連れて行ってあげる。

「取り組んでみたけれど、結局すぐに飽きてしまった」ということもあるかもしれません。そのときは、すぱっと切り替えて、別の興味をもっていることに挑戦してみる。途中でやめたとしても、そこまでの経験は子どもの成長の糧になっていますから、決してムダにはなりません。

 最初のうちは手探りかもしれませんが、さまざまな経験をさせているうちに、子どもが本気で熱中できる物事が見つかります。

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今木 智隆
今木 智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザ行動調査・デジタルマーケティング領域専門特化型コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売り流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。 タブレットを利用した小学生の算数の学習教材「RISU算数」で、のべ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。

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