まずは、「かんたん」なところから読んでみましょう。とはいえ、大人の場合の「かんたん」は、文字が少ないとか、ひらがなが多いということではありません。
僕のおすすめは「短編集」です。また、好きな人のエッセイもいいですね。短い時間で読めて、なじみのある人のことばなら負担にならないと思います。また、自分で選ぶのに迷いがあるときは、書店の棚を見て「本屋大賞」を受賞している一冊を手に取るのもいいですね。そういった選び方でOKです。
そして、一日1ページ、1分でもいいのです。まずは、本を開くことを習慣づける意識をしてみましょう。そこで「おもしろい」と思えるようになったら、どんどん読めるようになってきます。
僕は、読書を「かっこいい」と思っているんです。とくに読書をする大人の姿は、本当にかっこいい。たとえば、お箸の持ち方がきれいだったり、食事の所作がきれいだったりする人は素敵ですよね。それと同じ感覚です。先ほどお話ししたように、親が本を読む姿を見て「僕も、あんなふうに本を読めるようになりたい」と感じれば、自然と子どもも本に手がのびるでしょう。すると、親もどんどん読書が楽しくなる……こんな好循環も期待できそうです。
(取材・文/三宅智佳)
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