いよいよ12月、中学受験も本番間近になってきました。机に向かう時間が増えていきますが、「体験」を勉強にいかす工夫も学びを高めると言われています。脳医学者の瀧靖之先生は、息子さんの中学受験に向けてさまざまな「体験」に取り組んだそうです。受験生の親が知っておきたい「体験」の大切さについて伺いました。
【マンガ】中学受験「全落ち」した子はかわいそう? 大人の“勝手な思い込み”に気づかされた、子ども同士の会話とは(全35枚)親子で京都に足を運び、歴史の面白さに圧倒された
――瀧先生はこれまでの著書などで「『体験』が子どもの脳を育てる」と伝えてこられました。中学受験の勉強においても、「体験」がプラスにはたらくのでしょうか?
リアルな体験を通して、科目に対する興味関心を持つという意味では大いにプラスになると思います。わが家も息子の中学受験を経験しましたが、歴史の勉強が始まる5年生の夏に、息子を京都に連れていきました。どうしても見せたかったものの一つが、北山文化を代表する金閣寺と、東山文化を代表する銀閣寺。共に室町時代に建てられたものですが、同じ京都でも、これだけ文化にコントラストがあるということを、実際に見て圧倒される経験をしてほしかったのです。
それから、宇治市にある平等院にも足を運び、息子と一緒に鳳凰堂を拝観しながら、いろんな話をしました。平安時代には藤原道長が栄華を極め、当時は末法思想(釈迦の入滅後、仏教が衰退するという世界観)が広まっていたこと。道長は極楽往生(死後の極楽浄土に生まれ変わること)を願う阿弥陀信仰に熱心で、その思想を受け継いだ頼通が建立したのが阿弥陀堂(鳳凰堂)だったことなど。息子が歴史の面白さに気づくきっかけとして最高でしたね。
――体験を通じて、科目を好きになるのですね。
脳科学の世界では「流暢(りゅうちょう)性効果」といって、少しでも知識や経験のあることは興味関心を持ちやすいと考えられています。例えば、白いチョウが飛んできたのを見たとき、少しでもチョウを知っていれば「ツマキチョウかな?」「6月だから違うかな?」などと興味が広がりますよね。
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