子どもの価値基準は同世代の子どもに影響される

矢萩邦彦さん

矢萩:結局、この時期の子どもって親が何とかしようとしても、それを先回りして「そうじゃないほう」に行くんです。ただ、ある程度傾向は分かっていて、思春期の子どもの価値基準だとか判断基準は同世代の子どもにいちばん影響されているという心理学的な研究があります。つまり、学校や塾の友だちのグループの中で認められるために、自分の言動を選択してしまっていることが多い。だからもし、子どもの様子が心配なのであれば、子どもの友だち関係をちょっと注意深く見てみるのもいいかもしれません。もちろん、友だち関係は親に知られたくないという時期でもあるので、詮索するというより、さりげなく話をしてみるとか、友だちを家に呼んでいいよ、と言って子どもと友だちとの関わり方を見てみるとか。そうやって外堀からちょっとずつ距離感を変えていくのもいいのかと思います。親がほんの少しでも知っているだけで、その友だちとのチャネルを持っているだけで、我に返る機会は増えますし、言動もだいぶ変わると思います。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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母たちの中学受験: 第一志望合格は3割。納得できる結末に必要なこと

おおたとしまさ

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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