――つくづく奥様と出会えてよかったですね。
ホンマにそう! じゃないと4人の父親にはなれなかったですし……。
そう、一人目の出産のとき逆子やったんです。奥さんに「これまで死にそうになったことある?」と聞いたら「やっぱりあれが1番」というのがこのお産で。
――酒井さんは1年間、育休を取って付き添ってたんですよね。
ま、当時はほぼニートでしたからね。毎回、奥さんと一緒に産婦人科に通って、エコーで胎児を見ながら「ちっちゃいなぁ」とか言ってたのが、だんだん赤ちゃんの姿になっていくのも見てきたんですけど、いざ生む段になったら逆子だったんですよ。最後までいきんだらあかんと言われて、格闘してる奥さんの腰をお義母さんと交代で必死にさすりました。30数時間かかって生まれてきたときは本当に感動した。
奥さんいわく「最初のお産が大変過ぎて、あとの3人はチョロだった」って(笑)。そういうところも本当に尊敬するしすごいと思う。
――今は酒井さんの個人事務所の社長も務められているんですよね。
苦労かけたから、今はお金のことも全部やってもらってます。だから計り知れないよね、奥さんの力は。お弁当を作ったり、洗濯物を毎日二回転させながら、仕事と家族の両方とも円滑に回してくれてるんだから。
子どもたちのレールは絶対敷かない
――ちなみに先ほどお話が出ましたけど、お母様は奥様と真逆のタイプですか?
いや、それが二人ともさそり座の女で、意外と似てるところもあるというか……。一つは母も奥さんも俺の扱いがうまい。それと、我慢強くて諦めないところも似てると思う。とことん生んだ人間に対して並走する強さがあるところも。
うちの母は、なんて言えばいいんやろ……まぁ 闘争心というかファイターとして自分を奮い立たせてやってきた人だと思うんですよ。うちは弟が自閉症という障害があったので、弟が生きていく環境を整えるために町や福祉にかけあうということをずっとやってきた人です。さらに僕は「今日も酒井くんの問題について考えましょう」みたいな保護者会が開かれ続けた問題児。でも母は逃げることなく被告人席に座って頭を下げ続けてくれた。
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