理由の一つは、学校側の「配慮」とも考えられます。つまり、休みがちな生徒に対し、学校側が、不登校の相談窓口やフリースクールのような居場所の情報を提供することで、保護者と生徒が学校から“見放された”ように感じるのではないかと懸念する先生も多いようです。学校に行かずにフリースクールに通えばいい、と学校が軽視されることを困る向きもあります。

 また、教育委員会や学校単位でのフォロー体制が整っていないところが多いことも原因と感じられます。担任の先生の判断だけで必要な情報提供をすることは難しいため、休みがちな生徒や保護者について教育委員会や自治体などで一定の対応を決めておく必要があると思います。

 不登校の児童・生徒数が増えたのはここ10年くらい、特にコロナ禍とその後で一気に増えました。これは推測になりますが、学校や教育委員会側もその実態に合わせた対応が確立できていないところがあるのではないでしょうか。

 わが子が不登校になった場合はやはり、早急に相談先を得ることが非常に大切なことです。そのためには、学校側からもしっかりと情報提供や専門機関との連携をとっていただくことが大切です。教育支援センターや、地域の子供家庭支援センターなど、サポートしてくれる専門家とのつながりを深め、相談先の動線や連携を深めて、ぜひしっかりとした対応をしていただけたらと願っています。

※前編<不登校の小中学生34万人、1年で4万人以上も増えたのはなぜ? 「生徒間トラブルに先生の手が回っていないのでは」と専門家>から続く

(取材・文/玉居子泰子)

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石井 志昂

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