妻の妊娠中、やれることはすべてやった
――そう考えるようになったのはなぜですか?
単純に家族が大好きだということと、もう1つ言えば妻は子宮内膜症の治療を受けていたので、子どもができないかもしれないと言われていたんですよね。不妊治療も受けていました。僕としてはできなくても仕方ないと思っていましたけど、実際に妊娠がわかったときには、奇跡みたいだと思いました。そういう経験があったからこそ、より一層家族を大事にする気持ちが強いのかもしれません。
――奥さまの妊娠中はどんなふうにサポートされましたか?
すさまじくやりました! 妊婦さんは軽めの運動をしたほうがいいみたいですけど、やり過ぎはだめですから。車で送り迎えするとか、荷物は持つとか、力仕事はすべて自分がやるとか、やれることはすべてやりました。
――そんなに大事にされて、奥さまもうれしかったでしょうね。
それはわからないですが、「この人何もしてくれないな」とは思っていないはずです。「妻はなぜ、僕と結婚してくれたんだろう」とか、「娘はなぜ、くまだ家に生まれてきてくれたんだろう」とか考えると、その縁に感謝の気持ちがわくというか。特に妻には苦労や心配をかけてきましたから、今は恩返しをしなければ、という気持ちがあります。
コロナ禍ですべてを奪われたように感じた
――苦労や心配をかけたというのは?
一番苦労をかけたのは、実はわりと最近で、コロナ禍のときにうつ病になったんです。僕の勝手なイメージでは、うつって精神的に極端に落ち込むものだと思っていたんですけど、僕の場合はとてつもなく体にダメージがあって。歩けないし、動けないんです。
――そのときのご家族はどうでしたか?
妻はあまり気にしないタイプで、内心はわからないですけど、笑ってくれていたんです。当時の僕は1m歩くのも大変で、変な歩き方になっちゃうんですけど、その姿を見て笑ってくれた。それが僕にはよかったんです。さすが、笑いがあるくまだ家だな、って。僕はパワー切れで笑わせることもしゃべることもできなかったですけど、「ありがとう」だけは伝えましたね。
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