今まで明るくはっきりと聞こえる大きめの声の役が多かったのですが、キュアニャミーさんは基本的に低音域ですから。声の出し方、マイクとの距離の取り方もかなり試行錯誤しました。その過程も自分にとってプラスになった気がします。

 それから、「若おかみは小学生!」。ウリ坊という姿は少年、でも中身は70代の幽霊という難しい役どころでして。「男の子」としてのモノの見方や喜怒哀楽の表現の仕方を鍛えていただいた作品だと思います。

――少年の役は本当にピッタリですよね。ほかに得意とする役どころは?

 ありがとうございます。少年の役、関西弁の人の役は得意というか、オーディションでも選んでいただくことが多い気がします。もともと大阪出身で、かしこまっていないときはバリバリ関西弁なので、私に任せてくださいという感じですね。

声優という仕事の醍醐味は

――声優というお仕事の醍醐味は何だと思いますか?

 感情とものすごく丁寧に向き合えることですね。例えば昔、嫌なことがあってすごく怒ってしまったという負の感情も、「なんで怒ったのかな?」「今だったらどうだろう?」と冷静に考えて、分析して、お芝居につなげていけるんです。だから、どの感情も宝物になる感じがありまして。そこがこの仕事の醍醐味だなと思います。

――逆に大変なところは何でしょうか?

 例えばうれしいことがあってハッピーだけど、悲しいお芝居をしなければならないとき。「いま自分は浮かれているけど、この浮かれた感情がお芝居にのってしまっていないだろうか?」と悩んだりします。

 逆にすごくつらいことがあっても、お芝居で元気なキャラクターを演じると気持ちを引っ張り上げてもらえて、元気になれたりするんですけど。どちらにせよ、気持ちの切り替えに時間がかかって難しいと感じるときはあります。

――双子のお姉さん(注:「呪術廻戦」の枷場美々子役、松田利冴)も声優のお仕事をされています。同じ仕事をしていることで、良かった点はありますか?

 姉とは同じ現場に行くときもあるのですが、姉は私の演技の感想を素直に言ってくれて、時にはダメ出しされることもあります。なかなかネガティブなところを本音で言い合える相手っていないと思うので、同じ業界に姉がいてくれるのはすごくありがたいですね。

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