子どもが学校に行かないことで生じる、親の大きな悩みは「勉強が遅れる」ではないでしょうか。ゲームやYouTubeばかりでゴロゴロ……。「どうしたら勉強してくれるの?」と不安やイライラが募ります。しかし、約40年間にわたって不登校の子どもや、親の支援を続けてきた西野博之さんは「焦りは禁物」と言います。その理由はなぜでしょうか? 西野さんの著書『マンガでわかる!学校に行かない子どもが見ている世界』(KADOKAWA )からお届けします。

MENU 勉強が遅れるばかりで焦る……親はどうすればいい? 大人がつまらない「評価のまなざし」を持ち込まない

勉強が遅れるばかりで焦る……親はどうすればいい?

 学校に行かなくなったときの大きな悩みの一つに「勉強が遅れる」がありますね。同級生は1日に何時間も勉強しているのに、うちは家でゴロゴロ、このまま差がついてしまってどうしたらいいんだろう、と。

 たしかに30年以上前だったら、そうした心配はあったかもしれません。ですが今、学校に行かないと勉強できないかといえば、そんなことはまったくありません。

 YouTubeには無料でわかりやすい動画が多く公開されていて、全教科学ぶことができます。海外の超一流といわれる大学の授業さえ見られます。また、お金はかかりますがアプリを使ったオンライン講座や塾、家庭教師、通信教育もあります。本人がやる気になれば、学校に行かなくても学びは可能なのです。

 問題は学びたいというモチベーションをどうやって手に入れるかですよね。これは学校に行ったから手に入るというわけではありません。そもそも何を学びたいのかもわからず、将来のために試験で点数がとれるように勉強しなさいといわれても、簡単にやる気が出るものではありません。

 ではどうすればいいでしょうか。子どもが「やってみたい」と思うことを、とことんやらせてあげてください。音楽、映画、もの作り、釣り、料理などなど本人がやりたいことなら何でもいいのです。「〇年生の勉強」といったカリキュラムにとらわれる必要はありません。親はその環境を作ってあげてください。私はこれが好きだ、これをやっているときが一番幸せという経験を積むことが、何よりも将来的な「社会的自立」につながります。思いっきり遊んだり、取り組むことを通して、非認知能力を高めることもできます。

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西野博之
西野博之

1960年、東京都生まれ。認定NPO法人フリースペースたまりば理事長。川崎市子ども夢パーク、フリースペースえん。川崎若者就労・生活自立支援センター「ブリュッケ」など、各事業の総合アドバイザー。精神保健福祉士、神奈川大学非常勤講師。86年より学校に行かない子どもや高校中退した若者の居場所づくりを行う。

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