シドニーオリンピックに出場した元競泳選手の“ハギトモ”こと萩原智子さんは、10歳の男の子のママです。トップアスリートとしての経験は、子育ての中でどのようにいきているのでしょうか? 「絵本作家になる」という長年の夢を叶えるきっかけとなった息子さんの言葉、絵本を通じて子どもたちに伝えたいことなどを聞きました。※前編<「小6で身長170cm、電信柱とからかわれた」元競泳選手・萩原智子が語る、コンプレックスが“長所”に変わったきっかけとは>より続く

MENU 小4の息子は柔道と水泳を習っています 「お母さん、やってみてください」 監督の言葉にハッとした ちょっとした冒険は手出しせず見守る 他人を「認められる人」とは? ライバルの存在が人を成長させる 長年の夢だった「絵本作家」に  本当の優しさと強さって 何だろう?

小4の息子は柔道と水泳を習っています

――現在、息子さんは小学校4年生とお聞きしました。何かスポーツはされているんですか?

 柔道と水泳ですね。小さいうちからスポーツに触れることは、健康なからだづくりはもちろん、練習や試合などを通じて幅広い経験値を得ることにつながりますし、家と学校以外の「非日常的な空間」で過ごすことで、コミュニケーション能力も身につくと思っています。

――息子さんは、ママがオリンピック選手だったことを知っているんでしょうか?

 東京オリンピックのときに聖火ランナーをさせていただいたので、今はもうわかっています。でも昔は全然知らなくて、一緒にプールに行くと「ママ、泳げるの?」なんて聞かれました(笑)。ちょっと泳いで見せたら「おぉ〜、すごい!」って。

「お母さん、やってみてください」 監督の言葉にハッとした

――スイミングスクールに見学に行くことはありますか?

 行きますよ。コーチの中には私のことを知っている方もいて、息子は「ママに教えてもらわないの?」と聞かれることもあるようですが、私は息子から聞かれない限り教えることはありません。コーチが一生懸命指導してくださっているのに私が口出しをするのは申し訳ないし、子どもも混乱してかわいそうです。

 まぁ今はこんなことを言っていますけど、息子がまだ柔道を始めて間もない頃、他の子との違いが気になって、口出しをしそうになったことがあるんです。でもある時、指導者に「うちの子は、なかなか上手にならなくて……」と言ったら「じゃあお母さん、やってみてください。簡単にはできないですよ」と返され、ハッとしました。そうだそうだ、自分も選手として長年やってきてわかっていたはずなのに、なぜこんなこと言ってしまったんだろう、って。それからは絶対に口出しはしないと決めました。

息子さんとハギトモさん
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木下昌子
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