「受験はする! でも勉強はしない!!」これが口癖だったというKくん(現在中学1年生)。頑固でこだわりが強く、自分がやらないと決めたことは、誰に何を言われても一切やらない……。そんな彼の中学受験は、親子にとって大きな試練だったとお母さんは振り返ります。Kくんと両親は、中学受験を通してどのような気づきを得たのでしょうか。奮闘と成長の物語を紹介します。
【マンガ】中学受験「全落ち」した子はかわいそう?思い込みに気づかされた子ども同士の会話(全35枚)成長に悩んだ小学校低学年時代。学校でお母さんが付き添って授業を受けたことも…
就学前から言葉の発達がややゆっくりで、語彙が少なめだったというKくん。その一方で我が強く、好きなことはやるが、苦手なことは「絶対やりたくない」と避けるタイプでした。小学校入学後、しばらくは学校生活を頑張れていたものの、1年生の後半に差し掛かるころから、ちょっと気になる行動が見られるようになりました。
授業中に教室から出て行ってしまったり、帰る時間になると教室で仰向けに寝転んで“下校拒否”をしたり……。お母さんが仕事先から電話で30分、Kくんを説得したこともあったそう。本人ができるだけ落ち着いて学校に通えるようにと、1カ月ほど両親のどちらかが付き添って一緒に授業を受けたたこともありました。共働きの両親にとって、どれほど大変だったかは想像に難くありません。
「どう育てたらいいのか……」。思い悩んだ末、お母さんは子どもをみてくれる心療内科にKくんのことを相談に行きました。そこで先生にかけてもらった言葉でずいぶん心が軽くなったそうです。
「息子さんが頑固でこだわりが強いということはよくわかります。でも、こんなに大きく育っているじゃない。お母さん、肩の力を抜いてください」
この言葉によって、お母さんは初めての子育てで完璧を目指すあまり、「理想の子ども像」を求め過ぎていたことに気づかされたのだとか。また、この気づきは、やがて訪れる中学受験という挑戦に対し、Kくんと辛抱強く向き合う土台にもなったといいます。
次のページへ親ばかりが焦る通塾期間