おすすめポイント

 いつもの学校と“さかさま”になってうれしいことばかりかと思いきや、そんなわけにはいかないのが面白いところ。はじめのうちは楽しそうだっただいくんも、体育の時間に得意なかけっこで1等になってもほめられず、じわじわとストレスを感じます。先生が「さあ、みんなで おそく はしる れんしゅうを しましょう」なんて言うものだから、つまらなくて仕方がありません。腕を小さく振り足も高く上げないようにして、頑張ってのろのろ走るようにしている姿を想像すると、思わず吹き出してしまうこと間違いなし! “さかさま”学校は、とにかくツッコミたくなる場面が多いので、親子でツッコミを入れながら読んでみるのも楽しいでしょう。

『さかさまがっこう』(苅田澄子 作/つちだのぶこ 絵/文溪堂 刊)

 きわめつきは、給食の時間。だいくんの大好きなカレーライスなのですが、ひと口食べてみると「ん?」中にはびっくりするものが入っています。何が入っているかは読んでのお楽しみですが、“さかさま”学校では大好きなカレーが大嫌いなカレーになってしまうのです。いつもの学校と“さかさま”学校、どちらの学校に行きたくなったか、ぜひお子さんと話してみてください。自分にとっては楽しいことや得意なことも、誰かにとっては楽しくないことや不得意なことかもしれない。そんなふうに他者に対する想像力を働かせることもできるでしょう。

 「まさか さかさま、さかさま まさか」という早口言葉のような言葉遊びも楽しいところ。でも、ご注意を。お子さんには、よーく考えてから唱えるように言い聞かせてくださいね。

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