「小学校の低学年くらいまで、本はそんなに好きではありませんでした」と話すのは、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を運営する笹沼颯太さん。東京大学3年生のときに友人3人と起業した、24歳の若手起業家です。本よりゲームが好きだったという笹沼少年が、どのようにして「読書家」になったのでしょう。その背景を聞きました。子どもを本好きにするヒントが満載です!

MENU その後の読書人生を変えた、「バチッとハマる本」との出合い 家族とのお出かけの帰りは「本屋さん」が定番でした

その後の読書人生を変えた、「バチッとハマる本」との出合い

――笹沼さんが本を好きになったのはいつですか?

 子どものころ、本は嫌いではありませんでしたが、とりたてて「好き」というわけでもありませんでした。未就学児の頃は母が読み聞かせをしてくれていたのですが、母いわく「そこまで手ごたえを感じられなかった」(笑)ので、僕が小学生になってからはやめて静観していたそうです。

 学校では、読書の時間に図書室に行って本を読むことが週に何回かありました。当時、しっかりと本を読んだのは、本当にその時間くらいだったと思います。それよりはやっぱりゲームが好きでした。

 ところが、何気なく手にした一冊が、たまたまその時の僕に「バチッ」とはまったんです。たしか、3年生くらいのころです。それは、図書室の「おすすめ」コーナーに展示してあった一冊北極のムーシカミーシカでした。

―――バチッとはまった、とは、どんな感覚ですか?

 ほどよい厚さなのですが、文字がそれほど小さくないので「読みやすそうだな」と感じました。読み始めると、なにより物語がおもしろくてグイグイと読めたんです。読後は「あ、全部読めた!」という達成感があって、そのときに「本って楽しいな」とはじめて読書の魅力に気づいたのです。

笹沼少年がはじめてハマったという『北極のムーシカミーシカ』。友情や愛、正義などをテーマに、厳しい北極の世界で生き抜く双子のクマの様子を描いた物語。名作中の名作です。『北極のムーシカミーシカ』(新・名作の愛蔵版) いぬいとみこ/作 瀬川康男/絵 理論社

 そこから、どんどん自分から進んで本に手を伸ばすようになったのです。まずは図書室にあるシリーズ本を読むことからはじめて、自然とジャンルが広がっていきました。

――読書に目覚めてから、一日にどれくらいの本を読んでいましたか?

 朝は必ず読んでいました。本当はいけないことなのですが授業中に読んでいたこともあります。それから昼休みや放課後の図書室、帰宅後……。小4の頃には、一日に3、4冊は読んでいたと思います。

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笹沼颯太
笹沼颯太

Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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