――ほかの学生たちとの交流は? 

 楽しかったですよ。グループワークでの発表の機会なんかもあって。消極的な子にはその子にあったポジションを作ってあげて、やる気があんまりなくても参加できるようにして。あとは「こっちでだいたいやっとくから」みたいな感じで(笑)。そのときの講義は全員S評価をもらえました。

「飛田さん(東さんの本名)はプレゼンが上手ですね」ってまわりから言われたんだけど、人前で話す仕事をしてるから、当たり前ですよね(笑)。

大学に誰でも行けるよう3年間で卒業できる仕組みを

――卒業をせず、3年修了時に自主退学された理由は?

 卒業に必要な単位を全て取得したものの、駒澤大学には3年で卒業できるしくみがなかったからですね。飛び級で大学院に行くことはできるけど、卒業は基本的にできないしくみなんです。でも、今、私立の大学に4年間通うと、400〜500万円の学費がかかります。家が裕福な子はいいかもしれませんが、難しい子たちは奨学金を借りなくちゃいけない。これはそのまま借金になってしまうじゃないですか。

 もし、3年でも卒業が可能なら、少なくとも100万円は学費を減らすことができる。大学在籍年数を4年か3年か、選べるしくみが今後できたらいいのでは、という気持ちもあって。それで、僕自身は3年で退学を選ぶ、ということをしました。

 もちろん4年かけてしっかり学ぶことが基本です。ただ、家庭の事情はそれぞれなので、いろいろなニーズに応えていけるといいのかな、と。3年で卒業できる優秀な子がいたら、早く就職できるし、社会にとっても即戦力になる若手人材が増える。いいことずくめなんじゃないか、と僕は思っているんです。

――それは学生を見ててそう思われた?

 コンビニで100円のコーヒーをおごったら、すっごく喜んでくれた子がいたんです。地方から出てきて、当時はコロナ禍でバイトも制限されていて。「親にも負担してもらってるけど、自分では思うように稼げないから、飲み物は一切買わない。食堂に行けば水は飲めるから」って言うんですよね。そういうのを聞くと、若い子が大学でしっかり勉強をして早めに必要単位を取って、就職活動も頑張って1年早く社会に出られるというしくみがあっても、いいんじゃないかなあって。

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