「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。今回は、小6男子のお母さんからのお悩みです。

MENU 偏差値が高い学校=第1志望で大丈夫? 8ポイントならひっくり返る可能性は十分ある 入試問題で聞かれる3つの能力とは

安浪:まだ夏休みですし、ほとんど皆さんこんな感じなんじゃないでしょうか。逆に夏の段階で届いていたら、1、2月の試験日までどう失速しないように手を打つか悩みそうです。

矢萩:そうですね。志望校の決め方にもよりますが、今の段階で第1志望校に届いているというケースは稀ですよ。

安浪:塾の先生は偏差値が届かなくてもチャレンジさせてあげましょう、とおっしゃっているんですね。これって関東特有というか、関東で第1志望を「チャレンジ校」扱いすることがあるのは、学校数が多いからできることなんですよね。学校の数が少ない関西や他の地方は、第1志望をチャレンジ校にすることはまずないです。手堅く合格を取れそうな学校にしますから。それはともかく、まずはお子さんがどのぐらいその第1志望に思い入れがあるかによって手の打ち方は変わってくると思うので、お子さんの話を聞きたいですよね。

矢萩:確かに。このご質問の内容だと、お母さんと塾の先生の間だけで話が決まっているように見えますね。誰の志望校なのか、ということは明確にしないと。

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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