生活・社会面の問題では、朝起きられない、昼夜逆転、欠席が増える、ものを壊す・ものに当たる、暴言・暴力、食事を取らない、勉強に集中できない、成績が落ちる、友だちとの関係が悪化、不登校・ひきこもりなどの深刻な問題が起きています。

――小学生では、どのような症状が見られますか?

 当院を受診する小学生では、暴言や暴力が目立ちます。暴れる、大声を出す、ものを壊すといった類の割合が、中学生以上に比べてとても高いです。

 ゲームをなかなかやめない子どもに対して、親が「まだ小学生だから親の言うことを聞くだろう」と、スマホを取り上げたり、インターネットの接続を強制的に切ったりしてゲームを物理的にできなくすると、子どもは尋常でないほど大暴れをする――そういうことを繰り返しているうちに親ではどうにもならなくなって我々のところを受診してくるケースが非常に多いですね。

 不登校も多いです。受診前6カ月のうち3カ月以上不登校が続いているお子さんがだいたい6割から7割ぐらいいます。

 また小学生でもほぼ全員がゲーム課金をしています。少額の課金は自分の小遣いから出している場合が多いですが、課金額が増えてくると、家に置いてあるお金を盗んで電子マネーに変えるとか、祖父母の財布から盗むとか、親のクレジットカードで勝手に番号を入れる場合も少なくありません。月に何十万円も課金している子もいます。

 国民生活センターのインターネット関連の消費相談で最も多いのは小学生に関する相談で、その相談内容の多くを「多額のゲーム課金」が占めています。

――「たかがゲーム」では済まないですね。

 ゲーム依存を放置すれば、直近の学業や社会生活に支障が出るだけでなく、将来にも影響します。インターネットやゲームは依存の危険を孕(はら)んでいることを、親御さんにはぜひ認識しておいていただきたいと思います。

(取材・文/熊谷わこ)

樋口進医師のお話をもとに編集部で作成
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