もしも、子どもから性被害にあったことを打ち明けられたら……? 子どもからSOSを発せられたら、親はどんな言葉をかけたらいいのでしょうか。子どもの心を守るために知っておくべきことを、長年、性暴力対策に取り組んできた慶應義塾大学SFC研究所上席所員の小笠原和美さんに伺いました。「AERA with Kids 2024年夏号」(朝日新聞出版)からご紹介します。
「あなたは悪くない」と、まず伝えよう
突然、子どもから性被害を打ち明けられたら、「まさかそんなことが」とショックを受け、親御さん自身も戸惑ってしまうかもしれません。
でもそこで、「うそでしょ」などと否定せず、ひと呼吸置いて、できるだけ冷静に話を聞いてあげましょう。
「ただでさえ子どもは加害者に『パパやママが知ったら怒られるよ、悲しむよ』などと脅されていたりします。それでも勇気を出して話してくれたことに、ありがとうと伝えて。そして『あなたは悪くないよ』と安心させてあげてください」(小笠原さん)
また否定に加え、「どうしてもっと早く言わなかったの?」「SNSを使ったのが悪い」などと責めてしまうと、子どもは言葉を引っ込めて、同様のことがあっても親に話さなくなってしまいます。
「そうすることで犯行が明るみに出ず、エスカレートする場合も。その結果、さらに被害が拡大してしまうこともあります」
知識は力 日頃から親子で学んでおこう
子どもを狙う加害者は子どもの無知につけこんでくるもの。プライベートゾーンをはじめ、性に関する正しい知識を親子で持つことで、性被害からの抵抗力を高められることがわかりました。
「ただ、性についての知識を、子どもにどのように伝えたらいいのかわからないという親御さんもいるでしょう。そんなときは、本や絵本、動画などで学んでみてはいかがでしょうか?」
日頃から親子で性について話していれば、子どもは親御さんのことを、万が一何かあっても安心して相談できる相手と考えてくれるでしょう。
また法律に関する知識も同様。昨年度は、性犯罪に関する多くの法律が改正されました。
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