朝食を食べず、夜に“ドカ食い”

――生活習慣の乱れとは?

 肥満傾向にある子どもたちは起床時間が遅く、朝食は食べずに昼食や夕食、夜遅い時間にドカ食いをしているケースが多くみられます。それが習慣化して、脂肪の蓄積につながっていることがあります。

 さらにここ数年はコロナ禍での外出自粛によって、生活習慣が一層悪化したことも、子どもの肥満増加に拍車をかけています。

 運動不足については、都市化などによって、安全な遊び場や運動の機会も減少していますが、コロナ禍で学校の運動プログラムが中断されるなど、いくつもの要因が重なっています。

 外遊びが減少した分、ゲームなどスクリーンタイムの増加が顕著になり、生活が乱れ、家にいる時間が長くなり、肥満につながる傾向が強まっています。

――ほかに、肥満につながる要因はありますか?

 不登校や貧困世帯の増加なども大きな要因となっています。現在、不登校の小中学生は約30万人にものぼっています。不登校の子どもは、学校に行かないことで日常的な運動量が減少し、家庭での活動も限られることから運動不足になりがちです。さらにストレスによる過食など、肥満になりやすい要因をいくつも抱えています。

 ひとり親世帯を中心に低所得世帯が増加しており、そうした貧困の影響も子どもの肥満増加に関係しています。低所得世帯では昨今の物価高の打撃もあって、野菜や肉・魚などの栄養価の高い生鮮食品を手に入れることが難しく、代わりにカップラーメンやポテトチップスなどの安価でカロリーの高い加工食品に頼りがちな傾向があります。

 低所得世帯の子どもたちは不健康な食習慣によって肥満になりやすく、さらにこの世帯の子どもの約1割が朝食を食べていないというデータもあります。

子どもの肥満は将来、メタボやうつを引き起こすことも

――子どもの場合、どのくらいの肥満から注意が必要なのでしょうか。

 子どもの場合は成長期であるため、大人の場合とは異なる基準で肥満度を算出します。子どもの年齢や性別による基準が設けられていますが、6~18歳の子どもの肥満の指標となるのは「肥満度」です。肥満度は標準体重に対して実測体重が何%上回っているのかを指します。

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